地区に根差した昆布を使って食育を
使われ方に地域性のある昆布
最近、フリーランスになりました乾物屋です。専門の昆布ついて語っていきたいと思います。
昆布はご存じ通り海藻です。学術的に分けていくと様々な種類が存在します。研究者ではないので一般的に市場で販売されている昆布について説明したいと思います。
昆布の生息地
1.国内
昆布は日本国内でも青森県をはじめ岩手県から以北で採取されます。
(一部、富山や鳴門でも養殖されていますが、生産量も少なく商流ベースにはなかなか乗ってきません)
2.海外
外国産では中国、韓国にて養殖されています。ロシアでも採取できますが正式な輸入枠が設けられていないため、こちらも商流ベースとしては厳しい状況です。
ロシアの昆布はいいものが取れます。見た目は日高昆布。味は利尻昆布といった具合です。だしは黒く濁りますが非常によいものです。
昆布の使用方法と地域性
昆布も地域によって使われる種類・使用方法が異なります。
1.北海道
北海道は、生産地のためあまり多く消費しません。釧路のおでん屋さんに行くと根昆布付の棹前昆布で巻いた昆布巻きなどが置いてあります。普通の昆布巻きと違い、おでん種の昆布巻きは格別うまいです。ポタッとした食感で何とも言えない味わいです。
2.東北
東北においては、粘るものが好きな地域なので、がごめ昆布などもよく使われます。
その代表的なものが「松前とろろ」です。いわゆる松前漬です。家庭で作るようのセット品が乾物コーナーに定番化されています。消費量は日本一出ないかと思います。
だし昆布として「日高昆布」。煮物用としては「すき昆布」「早煮昆布」などです
3.関東
関東は人口が多いので消費量は各段に上がります。だしは「日高昆布」「利尻昆布」で煮物用は「早煮昆布」・「きざみ昆布」などです
4.東海
東海地区は日高昆布があればいいと思います
5.北陸
北陸地区は大消費地になります。
富山県は「羅臼昆布(養殖品)」
石川「日高昆布(根)」
福井「のし・折昆布」 など使用品に特徴がありますが。
この地区は昆布〆・昆布巻きや、春先にタケノコと昆布を炊く習慣があるので
更に「早煮昆布」をたくさん使います。
またおにぎりに「とろろ昆布」をまく習慣があり消費量は半端ないです。塩吹き昆布の消費量も全国トップクラスです。
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6.関西
関西は、大阪は「真昆布」 京都「利尻昆布」、といったみたいに出汁にこだわった地域です。
*高級料亭などでは、こだわりが強く、1年寝かせた天然利尻昆布(島もの)を指定して使用しています。理由は1年寝かせてない若い天然利尻昆布(島もの)はカツオ節と合わせるとだしが濁ってしますからです。
7.山陽・四国
山陽地区・四国地区は 消費はさほど多くないですが、加工業者が多い地区です
出汁もイリコだしが主流の地域です
8.九州
九州地区は 「羅臼昆布(天然)」、「野菜昆布」といったみたいにこだわった昆布を消費する地域です。消費量も多く使っています。うどん・ラーメン出汁にに多く使用されています。
9.沖縄
沖縄地区は「貝殻産 棹前昆布」があればいいです。細切りして豚肉と炊いて食べます。
何故、地域性がうまれたか?
各地区で使うもの・使われ方が違うのは、
江戸時代の北前船の影響が大きとされています。
北前船は昆布を積んで、北海道を出港し北陸、九州、関西と回りました。
北陸では富山に最初に寄港し「羅臼昆布」を下しました。高級品から降ろして行ったんですね。
次に福井・敦賀では「真昆布」「利尻昆布」を下し、琵琶湖の水路を通て上方(大阪)に運びました。こちらも高級昆布です。
九州では主に「長昆布」を下していった。煮物用昆布として鹿児島を通り沖縄へ運ばれたのです。
昆布をおろした先で地元の食文化に取り入れられ、親しまれて来た歴史が今に至るんですね。
使う昆布の銘柄指定などのこだわりが強い地域もあります。
「昔からうちの地区は。、この昆布を使っている」
という、こだわりが今の昆布文化を支えてくれています
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昆布の未来予想図
今週、北海道大学が 2090年までに昆布主4種類が消滅する可能性があると発表されました。
4種とは 長昆布・厚葉昆布、とろろ昆布、ネコ足昆布です。
これらが無くなると 昆布巻き、納豆昆布、ラーメン出汁用と 多岐にわたり
食文化に影響が出てきます。
地球温暖化 → ウニが増える → 餌の昆布が食べられる といった経緯らしいです。
2090年になると私は100歳を超えているので、この世にいないかと思いますが、
日本の食文化が変わることは心が痛いです。
今後も少しでも、日本の食文化が残るよう努力したいですし、また若い方々に取り入れていただけるようアピールし続けたいと思います。
親が食べないものは子供も食べない
とよく言われています。親である私たちが食べることで、将来、今の子供たちにも美味しさ・懐かしい味として親しまれるのかと思います。
昆布が無くなれば和食文化も変わるかも・・・・・
未来の子供たちにも美味しい昆布を味わってもらいたいです。